一人親方労災保険とメリット制の関係
労災保険には労災の数に応じて保険料を割引、または割増にするメリット制という制度があります。労災が多い事業所では多くの補償金が支払われますが、労災の多い事業所と労災の少ない事業所の保険料が同じでは不公平になります。そこで過去に労災を起こした事業所の保険料は割高に、労災のない事業所の保険料は割安に設定されます。これがメリット制です。メリット制によって多少事業効率を下げても労災を防止しようという姿勢が生まれ、労災の数を減らすことができます。
建設業においては事業元請けが保険料を一括で負担することになりますから、メリット制の恩恵は大きくなります。建設現場では特に労災が起きやすく被害も大きくなりやすいので、労災防止を促すメリット制はとても重要です。
しかし弊害も存在し、もし労災が起きたとなると保険料は一気に上がります。これは事業元請けにとっては大きな痛手です。そのため、事業元請けはその事業の労災保険をあまり使いたがらないのです。下請け側も元請けに気を遣って、自分の会社の労災保険を使うなどしています。
一人親方労災保険は、その事業の労災保険とは別口になるので労災を使う際に元請けに気を遣う必要はありません。保険料を自分で支払う代わりに、労災の補償を受けても元請けの保険料には何の影響もないのです。一人親方労災保険に特別加入することで、仕事を受けにくくなるということはありません。むしろ労務管理上、元請けは労災保険に未加入の一人親方を使いたがりません。安心して仕事を回してもらえるように、一人親方は労災保険に特別加入しておきましょう。